東京メトロ千代田線、小田急線の代々木上原駅東口から徒歩5分に位置する「天麩羅喜わ」。駅前の喧騒から少し離れた閑静な路地の向こう側に位置するお店の敷地内には厳かな庭園が広がっている。
落ち着いた趣ある店内で提供されるのは素材からこだわり抜かれた品々。
店内にはBGMのない落ち着いた時間が流れる。学生時代は毎日のように顔を合わせていたが、いつしか疎遠になり10数年ぶりに再会した旧友との久々の会食のように、積もる話をじっくりと噛み締めながら食事を楽しみたい時にはこのお店のコースが大切なひと時に花を添えてくれる。
コースは天ぷらの素となる素材たちを紹介されるところから始まる。食材を見ることで、その後出てくる天ぷらへの期待をいっそう引き立てる粋な計らいだ。旬の食材を生かした味わい深い品々との出会いの連続は、過ぎた年月を投影するかのようー。
話を盛り上げるのに一役買うのがアルコール。店内で取り扱っている厳選された日本酒は、ぎこちなくなった関係性でも言葉を紡ぎやすくさせる呼び水に。
今回の訪問でドリンクとして頂いたのは、新潟産の日本酒である「鄙願(ひがん)」。季節ごとにサブタイトルがつき、入手困難なお酒となっている一品で、「一生に一度でも、心底うまいなぁと、しみじみ実感できる酒を飲んでみたい・・」という作り手の悲願から20年がかりで作り上げたプライベートブランドの日本酒だそう。スッキリとまろやかな飲み口で、とても飲みやすく、ついつい手が進んでしまう味わいが箸も話も軽やかに。
天ぷらだけでなくどの料理も絶品のこの店だが、食事の満足度だけでなく、接客の丁寧さも口コミで好評。大切な時間を過ごす候補としていかがだろうか。
旬の食材を生かしたコース
メニューはドリンク代別途で、15,000円の「なごみ」と18,000円の「ゆかし」コースがある。
今回利用したのは15,000円のなごみコース。
コース内容は先付け、海老2尾、魚3品、野菜4品、かき揚げお食事、甘味。
魚の天ぷらは白魚、アナゴの3品。野菜はタラの芽、ふきのとう、タケノコ、アスパラでした。他にも、うにキャビアやブラウンマッシュルームの天ぷら。
箸休めにもずく酢、レモンを絞ってさっぱりとした味わい。口の中をリセットすることできる。
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先付けはアナゴの稚魚である「のれそれ」、アユの稚魚である「氷魚(ひうお)」の漬けでした。左の透明なのが「のれそれ」、右が「氷魚」です。稚魚がとれる今が旬ということで、食感を楽しみながらいただきました。
天ぷらの一品目はエビ・・・の本体ではなくエビの足。
こちらをサクサクといただくと、いよいよエビの本命・本体が出てきました。1本ずつ出てきたので、塩とつゆでそれぞれ堪能。どちらも甲乙つけ難いおいしさでした。
お野菜の天ぷらも登場。脇役のイメージの強い野菜の天ぷらですが、どれも手が込んでいて、印象深いものばかりでした。野菜の天ぷらはどれもさくさくほくほくの食感で、ふきのとうは味噌が乗っており、そのままでも美味しく頂けます。タラの芽、そして出てきたのはこちらのキノコ。「しいたけかな?」と思ったらこちらは実はブラウンマッシュルーム。肉厚ジューシーなマッシュルームとなっており、キノコ好きには堪らない美味しさです。
うにキャビアは大葉が割れやすいとのことで、一口で頂きます。少し大きめなので食べづらさはありますが、口に入れた瞬間にうにが広がり、キャビアの塩気が程よいバランス。最後に大葉の風味がふわりと締めてくれます。
こちらはアナゴの天ぷら。天ぷらでの食べ方としては珍しいねぎ塩レモン、アナゴのふわふわ食感とネギ塩の相性がバッチリで圧倒的な美味しさでした。
ピックアップ ホスピタリティの高い接客
入店して席に座った時にはすでにおしぼりやお箸が置いてあり、料理が運ばれてくる準備が整っていました。
食事量が多いわけではないので、少し物足りないと感じてしまう方もいるかもしれませんが、1品1品がゆっくりと運ばれてくるため満足感があります。
会話の合間を見て料理を提供してくれるため、会食で大事な話を進めることも可能です。女性客に対して膝掛けを用意してくれたりと気配りも丁寧で、とっておきのデートに利用するのもおすすめです。
お店の基本情報
◇天麩羅喜わ
住所:〒151-0064 東京都渋谷区上原1-17-14 上原ハウス 102
定休日:水曜日
営業時間:18:00〜23:00
電話番号:03-5738-7550