大将の心遣いが光る 贅沢な日本食と握り「鮨 むらやま」【銀座駅】

和食

東京メトロ銀座駅から徒歩3分にある高級寿司店「鮨むらやま」高級ブティックが立ち並ぶ銀座の街並みから、少し奥に入ったビルの7階に、今日も美食家達が足を運んでいる。「鮨 むらやま」はミシュランで一つ星を獲得しており、予約困難店として有名だ。また同店は先日、離れを同ビル5階にオープンするなど、非常に勢いのある店である。高級寿司激戦区、銀座で、美食家達を引き付けるものは一体何なのだろうか。

店内は白木で統一された、明るく清潔な印象だ。入口の一輪挿しには細やかな心遣いが感じられる。カウンター越しに客と談笑する大将の笑顔が、明るい店内の雰囲気をより柔らかなものにしていた。また、「鮨むらやま」で忘れてはならないのがスタッフの仲の良さだ。厳しい大将とそのお弟子さん、という従来のイメージとは異なり、全員で店を切り盛りしている印象だった。カウンター越しに展開される、「チームむらやま」とでも言うべき見事な連携に、料理への期待が高まっていくこと間違いなしだ。

おまかせコース 

おつまみ

日本酒:大将が厳選したおすすめの日本酒が提供される。

唐津のあかうに:濃厚なウニの味わいとぷりぷりのエビの食感、枝豆と焼きとうもろこしの甘さが相まって、ついつい箸が進む。鮮やかな色合いの冷製の前菜で、夏らしい一品だ。

鮃とコノコ(ナマコの卵巣)の塩漬け:刺身の甘みとナマコ特有の風味が独特な味わいだ。

鮃の刺身:新鮮な鮃のとろけるような身に、思わず心が躍る。わさびと一緒に食べると、鮃の甘さがより際立って美味しく感じられる。

煮蛸:わさびと一緒に食べるよう勧められた。芯まで味の染み込んだ肉厚な蛸の身は、噛めば噛むほど旨味が溢れる。見た目は小さいながらも食べ応えのある一品だ。

あん肝と無花果:酢味噌と一緒に一口で食べるよう勧められた。無花果が目の前でカットされているときは、口直しだろうか、と思っていたが、まさかこのようなパンチのある一品に化けて現れるとは。一口食べるとその濃厚な味わいに驚くことだろう。

蒸し鮑と肝ソース:鮑のコリコリ、ぷりぷりとした噛みごたえのある食感がたまらない。肝ソースが濃厚なのはもちろんのこと、鮑を噛むと溢れる特有の旨味とマッチしていた。

太刀魚と唐辛子の餡掛け:太刀魚のほろほろ、ぷりっとした白身に、青唐辛子の色鮮やかな餡が食欲をそそる。銀杏がアクセントになっていて、大将の細やかな味へのこだわりが感じられた。

琵琶湖の天然鰻:お好みで粉山椒と一緒に食べるよう勧められた。鰻の身に包丁を入れていくときのザクザクッという音に、思わず期待が高まる。目の前に運ばれてきた途端、鼻に抜けるようなうなぎの香りが広がった。香りを楽しみながら口に運ぶと、直焼き特有のパリッとした食感の後に、ふわっと柔らかい身の食感が訪れる。粉山椒との相性は抜群で、白米と一緒にもっと食べたい!という声もあった。

毛蟹ともずく、冬瓜ゼリー:3つの食材それぞれの持つ酸味のバランスが絶妙だ。旬の毛蟹を、もずくと冬瓜の風味でさっぱりと頂ける。

大将考案の充実したおつまみを堪能した後、待ちに待った握りが登場する。

新イカ:赤酢飯とわさびで頂く。白くツヤツヤとしたネタが美しい。とろけてしまいそうな烏賊の甘味がシャリの酸味とわさびの辛味によって引き立てられた一品。

ゲソ:ぷりぷりとした身で、もっと食べたくなってしまう。

きす:天ぷらのイメージがあり、刺身で頂く機会が珍しい分、運ばれてくる前から他のお客さん達も興味津々だった。きすの寿司は初めてだったが、山椒が良いアクセントになっていて絶妙だった。

のどぐろ:白身のトロの名にふさわしい、上質な油が、赤酢飯との相性抜群だった。

赤身漬け:わさびの香りが、程よく浸かった赤身の風味をより一層深いものにしていた。

中トロ:艶やかなネタがまるで宝石のように美しい。口の中でとろけるような柔らかさで、豊かな脂の風味が広がった。

大トロ:色鮮やかなネタに、思わず喉が鳴る。脂の甘さと口の中での舌触りが絶妙。噛むたびに濃厚な良い香りと旨味が口いっぱいに広がり、寿司の真髄を感じる一品。

しんこ:軽やかな食感と程よい脂が印象的。特有の香りと旨味が絶妙で、シンプルながら素晴らしい味わい。

アジ:わさびとの相性が抜群で、素材の味がよく引き立っていた。ネタは肉厚で、食べ応えのある一品。

雲丹:下にバフンウニ、上にムラサキウニを盛り合わせた、贅沢な軍艦巻き。ゆっくりと舌の上で転がしたくなる雲丹の旨味がたまらない。飲み込んでしまうのがもったいないくらい濃厚だ。

車エビ:プリっとした大きなエビが視覚的にも嬉しい。エビの旨味が引き出されていて、見て良し食べて良しの満足な1品。

あなご:身はふっくら、ほろっと柔らか。甘みと旨味が絶妙で、まろやかな味わいが広がる。食べるたびに幸せな気分にさせてくれる。

マグロ手巻き寿司:香り高い海苔の風味と赤酢のバランスが、寿司の〆にピッタリ。目の前で作られていく過程と大将から手渡されるまでのワクワク感が楽しい一品だ。

:噛まずに溶ける、まるでデザートのような甘い美味しさが絶品だ。

味噌汁:優しい味わいが身に染みる。〆にふさわしい一品だ。

編集後記

大満足の食べ応えだった。元々は日本料理を専門としていたという大将の料理の数々は、全てオリジナルの作品である。細やかなこだわりが、旬の食材の素材の良さを最大限引き出しており、メニューも時期に合わせて度々更新しているそうだ。また、「鮨 むらやま」の魅力は料理の腕前だけではない。細やかな心配りも魅力の一つだ。客の腹具合を気遣い、料理に対する質問にも丁寧に答える大将の姿が印象に残っている。誰に対しても、明るく気さくに接する大将の人柄が、美食家達を惹きつけてやまないのだろう。大将と弟子の垣根を越えた活気ある雰囲気が、店全体を包み込み、絶品の数々をより一層高みへと導いていた。

現在予約困難となっており、8月時点で次回の最短の予約は来年の2月だった。また、一弟子オン・ショウキ氏が今年7月にオープンした、「鮨むらやま 離れ 好雪別処」にも後日伺う予定だ。

お店の基本情報

◇鮨 むらやま
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座7丁目6−2 銀座門ビル 7階
定休日:日曜日
営業時間:17:00~22:00
公式ホームページ:https://sushi-murayama.jp/
公式Instagram: https://www.instagram.com/sushi_murayama/?hl=ja

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