心安らぐ空間で、こだわりの和食を堪能「新橋 堤」【新橋】

和食

目印の赤い暖簾をくぐると、優しい木のカウンターが目に入り、上品な出汁の香りが出迎えてくれる。当店は店長夫婦が2人で営んでいて、優しい雰囲気が魅力。筆者が11年通う、安らぎの空間だ。

アナゴと白子とヤナギムシカレイの茶碗蒸し

店長によると、ヤナギムシカレイは大きく子持ちであるほど高級だとのこと。ほんのり柚がかかり、さっぱりとした三葉が上品なアクセントとなり、大きく賽の目にカットされたしいたけと見事に調和していた。

茶碗蒸しには「す」が全く入っておらず、一口食べるとその上質な舌触りを実感できるだろう。本日はお正月仕様とのことで黒豆が入っていた。

重箱(右)

いずみどりの炊き合わせ

もも肉とレバーの組み合わせ。もも肉はムチムチなのに噛み切りやすい柔らかな食感で、鳥の旨味がたっぷりと感じられる。濃厚なレバーの味わいも印象的。

里芋の田楽

薄く衣をつけて揚げられた里芋とお味噌が見事なハーモニーを奏でている。柚の香りが広がり、里芋の美味しさが引き立っていた。

くわいと原木しいたけの信太巻

椎茸、お豆腐、お魚のすり身が絶妙なバランスを醸し出している。くわいはサクサクとした食感の里芋で、お揚げには風味豊かな出汁がしみていた。

アナゴの天ぷら

アナゴの甘みが際立ち、サクサクとした食感が楽しい一品。甘みの秘訣を店長に尋ねたところ、「軽く炊いてます」とのこと。

重箱(左)

数の子の松前漬け

細かく刻まれた大根、人参、めかぶと数の子が絶妙な塩味で、さっぱりとした満足感たっぷりのおつまみ。ネバネバ好きはハマること間違いなしだ。

あん肝のとびっこあえ

クリーミーなあん肝に、生姜ととびこが絶妙に調和した一品。大将曰く、甘辛く炊いてあるとのこと。

奈良漬と酒粕とクリームチーズの和え物

酒粕によって濃厚なクリームチーズが一層の濃厚さをプラスしていて、クラッカーにピッタリの味わい。奈良漬のシャキシャキ感がアクセントで、ふんわりとしたお酒の風味も感じられる。

キンカンのシークヮーサー煮

柔らかく煮られたキンカンが甘さの中に少しの酸味を香らせ、その味わいは絶品。キンカンの下にはかぼちゃのカステラが敷かれ、丁寧に裏ごしされたかぼちゃの甘味が堪能できる。

天然だいの煮こごり

生姜がふんだんに使われ、鯛の旨みを引き立てている。その美味しさは、煮こごりの常識を覆すほどだ。ぜひ味わって頂きたい。

豆のサラダ仕立て

白ワインビネガーとオリーブオイルの特性ドレッシングが印象的。菜種を圧搾した油を使用しているため、ヘルシーで健康的な一皿だ。青豆と黒豆の組み合わせが食欲をそそる。ドレッシングは購入可能で、おうちでも手軽に楽しめる。

ほうれん草の胡麻和え

さっぱりとしたごまの香りがほうれん草と絶妙に調和しており、お口直しに最適。爽やかな風味が食事のアクセントになり、美味しさを引き立てている。

北海道産いそつぶ貝の酒蒸し

プリプリのいそつぶ貝から海の旨みを感じられる。酒蒸しの調理法が食材の味を際立たせ、素材そのものの旨さが楽しめる一品。

純米火入 日本酒 天明

メニューには載っていない、店長おすすめの日本酒を出して頂いた。米の旨味を感じるまろやかな味わいが印象的だった。

海老しんじょと銀杏のすり流し

しんじょの準備中に出汁の豊かな香りが漂い、思わず顔が綻んだ。

銀杏をすってこしてペーストにしたものにとろみをつけて、出汁と合わせた汁物にしてある。銀杏とお出汁のシンプルな味わいが上品だ。海老しんじょにはプリプリとした海老が丸ごと入っていて、エビの旨味と食感を同時に味わうことの出来る贅沢な一品だ。

海老しんじょと銀杏スープを一緒に味わうと、幸福感溢れること間違いなしだ。

牡蠣のウニ焼きと白子の醤油和え

ウニの香りを纏った牡蠣はぷりぷりとしており、香り、食感、味覚全てを満足させてくれる。添えられた芽ネギがサッパリ感を加えていた。店長こだわりの黄金比でブレンドされた醤油が、白子と絶妙にマッチしていて、新・海鮮親子丼とも言うべき新感覚の一品だ。こちらではタラを取ったタラも一緒に味わうことが出来る。淡白なタラと思いきや、ウニソースがかかっていることにより、濃厚かつタラのシンプルな味わいが合わさる大満足のおつまみになっている。

百合根と自家製カラスミの炊き込みご飯

北海道の百合根農家から直接仕入れているというこだわりの百合根は、里芋のような濃厚な舌触りが印象的だった。カラスミが絶妙な塩味を加えており、ご飯と百合根との相性が抜群だった。タラや魚卵も入っている贅沢な炊き込みご飯だった。食べきれなかったご飯は持ち帰り用のお弁当に詰めてくれる。お弁当には本日のメニューがおまけでたくさん乗せてあり、

本日のメニューに加えて、メニューには無いお弁当用のおかずも添えてある。最後まで美味しく楽しませてくれるお店の心遣いに感動した。

編集後記

選りすぐりの食材の良さが店長こだわりの仕込みにより引き立てられ、その味わいは五感全てに染み渡ること間違いなしだ。お土産に自家製なめ茸と豆サラダに使われていたドレッシングは持ち帰ることが可能なので、お家でも「堤」の味わいを楽しみたい方はぜひ購入していただきたい。

「堤」の雰囲気は、どのシチュエーションにも対応しているが、特に仕事終わりに和食割烹が食べたい時に最適だ。ワイワイ飲みよりはしっぽり落ち着いた雰囲気で食事とお酒を楽しめる空間である。

お店の基本情報

◇「新橋 堤」
住所:東京都港区新橋6-8-1
カウンター6席
テーブル席10席
完全予約制
公式ホームページ:https://ameblo.jp/shinbashitsutsumi/
営業時間:18:30〜22:30
定休日:日曜日、第1第3土曜日(土曜日は早終いする日が多いそうだ)
予約は当日16:00まで受付可能

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